Excelで画像データリストを作成し、Wordの「差し込み文書」機能でその画像一覧を作成する手順を説明します。
画像入り名刺や商品カタログ、アルバムなどに利用できると思います。
なにかと「うまくいかない」ポイントがあるようなので、詳しく解説してみます。
※以下の操作環境は、Windows 10 、Excel for Office 365(2020年3月現在)です。
作成手順
- ひとつのフォルダーに一覧に使用する画像を納めます。
- Excelでそのフォルダーにある画像ファイル名の一覧を作成します。
- Wordの新規文書を開き、差し込み印刷「ラベル」の設定をして保存します。
ここで「フィールドコード」の説明をしています。 - Wordの差し込み完了文書に書き出し、「更新」することで画像一覧が表示されます。この文書は任意の場所に保存することができます。
- <参考>
1.フィールドコード関連のショートカット キー
2.画像が編集された場合の更新
3.エラー表示の意味
1.ひとつのフォルダーに一覧に使用する画像を納めます。
縦横の表示方法は正しいほうに直しておきましょう。
2.Excelでそのフォルダーにある画像ファイル名の一覧を作成します。
一覧の作成方法には「ファイル名のみ」と「パス+ファイル名」の2通りあります。今回はリスト作成が簡単な「ファイル名のみ」の方で説明します。
下図のように「ファイル名.拡張子」のリストを作成します。例)FX014_L.jpg
画像フォルダーの場所はWord側で設定できます。
シート見出しは「リスト」としています。
作成できたら、名前を付けて保存します。
保存場所は画像フォルダー内でも外でもOKです。
<参考>「パス(ファイルの場所)+ファイル名」のリスト
リストにファイルのパスを作成するとWord側での場所指定は不要になります。
画像がいろいろな場所にある場合やサブフォルダーにも画像がある場合などはこの方法をとります。
ただし、フォルダーの区切り記号「¥」(半角)は「¥¥」と2つに書き換える必要があります。
これは、Wordのフィールドコード(後述)の決まり事です。「置換」機能を使うと簡単です。
例)D:¥¥QA¥¥差し込み印刷¥¥画像¥¥FX014_L.jpg
3.Wordの新規文書を開き、差し込み文書「ラベル」の設定をします。
3-1)Wordを起動し、新規文書を開きます。「差し込み文書」タブ「差し込み印刷の開始」グループ「差し込み印刷の開始」ボタンをクリックして「ラベル」を選択します。
3-2)「ラベル」オプションダイアログボックスが開くので、適当なサイズのラベルを選択し「OK」をクリックします。
ここでは、A4判10面のラベルを選択しています。
3-3)「差し込み印刷の開始」グループ「宛先の選択」をクリックします。
3-4)「データファイルの選択」ダイアログボックスが表示されるので、Excelで作成した画像リストを選択して「開く」をクリックします。
3-5)差し込み文書の「ラベル」は、左上のセルで差し込むフィールドや文字の書式を設定し、最後に他のセルにも反映させる仕組みです。
ここでは、1行目にテキストデータのファイル名とその説明を表示し、その下に画像を配置することにします。
左上のラベルの1行目をクリックして選択し、「文章入力とフィールドの挿入」グループ「差し込みフィールドの挿入」をクリックして「ファイル名」を選択します。続けて同様に「説明」も挿入します。
3-6)画像を挿入するための「フィールドコード」を挿入します。
①2行目にカーソルを移動します。
②「挿入」タブ「テキスト」グループ「クイックパーツ」をクリックして「フィールド」を選択します。
3-7)「フィールド」ダイアログボックスが開きます。
①「フィールドの名前」から「IncludePicture」を選択します。
②「フィールド オプション」の次のオプションにチェックを入れます。
●文書に保存されていないデータ(既定ではオフ)
┗チェックを入れると、リンク元の画像を表示します。
元画像を編集した場合、差し込み完了文書で「更新」を実行すると編集後の画像が表示されます。
チェックを外した場合は通常の画像の挿入と同じで、元画像が編集されても画像は更新されず、ファイルサイズも大きくなります。
●元の画像に合わせて幅を調整する(既定ではオフ)
●元の画像に合わせて高さを調整する(既定ではオフ)
┗チェックを入れると、縦横比を保持されます。
●書式を更新時に変更しない(既定ではオン)
┗チェックを入れておけば、差し込み設定文書で設定した画像サイズ変わりません。
チェックを外すと、表示を更新すると画像の本来のサイズで表示されてしまいます。
3-8)フィールドプロパティの設定
フィールド プロパティの「ファイル名またはURL」欄に、実際の画像データの場所をパスやURLで指定します。
このボックスには場合によって、次のように入力してください。文字列「aaa」は、あとでファイル名の「差し込みフィールド」を設定する場所を示すだけなので、どんな文字でもOKです。
- 画像ファイルをフルパスで指定
D:¥QA¥差し込み印刷¥画像¥aaa - ファイル名を指定(このWord文書と画像ファイルが同一フォルダに入っている場合のみ)
aaa - URLを指定
http://santane.jp/xx/xxxx/aaa
ここでは、「ファイルのパス」を指定する操作を説明します。
①エクスプローラーで画像フォルダーを表示し、アドレスバーのフォルダーアイコンをクリックし、パスが表示されたら「Ctrl+C」キーを押すか、または右クリックして「コピー」を選択します。
※アドレスバーのフォルダーアイコンを右クリックして「アドレスをテキストとしてコピー」を選択することもできます。
②Word画面に切り替え、「ファイル名またはURL」のボックスをクリックして「Ctrl+V」キーを押すか、または右クリックして「貼り付け」を選択します。
貼り付けたパスの最後に半角で「¥」を入力し、その後に文字列、例えば「aaa」を入力します。
この「aaaa」部分にあとでファイル名が指定されるようにします。
D:¥QA¥差し込み印刷¥画像¥aaa
※このダイアログボックスでは、「¥」記号は一つだけでOKです。
入力が完了したら「OK」ボタンをクリックします。
3-9)フィールドコードを編集して「差し込みフィールド」を挿入します。
①画像のフィールドコードを設定した部分が下図のように表示され選択されています。
編集モードにするため、選択されている状態で「Shift+F9」を押します。
②フィールドコードが編集できる状態になります。ここで、
「フィールド」ダイアログボックスで入力した「aaa」部分に差し込むフィールド名を設定します。
フィールドコードの「aaa」部分をダブルクリックまたはドラッグして選択します。
③「文章入力とフィールドの挿入」グループ「差し込みフィールドの挿入」をクリックして「ファイル名」をクリックします。
④下図のような画面になります。この段階ではまだ画像は表示されません。
「F9」キーを押すことで画像が表示されます。
3-10)画像の大きさを調整する
1レコード目の画像が実際のサイズで表示されるので、右下のサイズハンドルをドラッグして、セルに収まる大きさに調整します。
3-11)ラベルの書式を設定する
①左上のラベルでフォントやフォントサイズ、配置などの書式を設定し、「文章入力とフィールドの挿入」グループの「複数ラベルに反映」をクリックします。
★★【重要】ただし、画像のレイアウトは「行内」のままにしておきます。★★
「図のレイアウト」を四角や全面などのレイアウトに変更すると、その時点でフィールドコードが削除されて通常の「画像」になってしまいます。
②その他のラベルが更新されました。この段階でも画像はすべて同じでOKです。
4.Wordの差し込み完了文書に書き出す
ここまで設定したWordファイルは差し込み印刷をするための元データやフィールド、フィールドコードなどの設定値が保存される「設定文書=メイン文書」になります。
これ以降の作業がうまくいったら、名前を付けて保存しておきましょう。
①「差し込み文書」タブ「完了と差し込み」をクリックして、「個々のドキュメントの編集」をクリックすると、印刷用の別ファイルが新規文書としてして開きます。
②「新規文書への差し込み」ダイアログボックスが表示されます。ここでは既定値の「すべて」のまま「OK」をクリックします。
③「ラベル1」という新規文書が開きます。ここでもまだ画像はすべて同じです。
<画像の更新作業>
- ★★重要★★日本語入力モードをオフにします。
※「F9」キーが「更新」ボタンですが、日本語モードがオンの時、「F9」キーは「全角強制変換」としての役割になっています。 - 「Ctrl+A」をクリックして「すべて選択」します。
- 更新キーの「F9」キーを押します。下図のように画像が更新されました。
これで画像の差し込み印刷は完了です。
※このラベル文書でも画像のレイアウトを「行内」以外に設定すると、フィールドコードが消えてしまうので、リンク元の画像が変更されたり削除されても自動更新はされません。
<参考>
1.フィールドコード関連のショートカット キー
Shift+F9 | 選択したフィールドコードの表示/非表示の切り替え |
Alt+F9 | 全てのフィールドコードの表示/非表示の切り替え |
F9 | 選択したフィールドを更新する |
2.画像が編集された場合の更新
フィールドコードのオプションで、「文書に保存されていないデータ」にチェックを入ておくと、リンク元の画像画像が編集されたら「F9」キーを押せば画像が更新されます。
(更新前)
(更新後)更新された画像を選択して「F9」キーを押す。
3.エラー表示の意味